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親指シフトとは

親指シフトについての正確な情報、歴史などについては、下部のリンクを参照下さい。

よくある説明をコピペしても、あんまり意味がないと思いますので、僭越ながら自己流でやってみたいと思います。親指シフトに対する素朴な疑問があったとして、それに私ならどう答えるかという形式です。あくまで主観的な回答です。もちろんツッコミは大歓迎です。

親指シフトというと、


●かな入力? それって今でも出来るし、親指でシフト入力って、意味わからないんですけど。

●親指シフト?知ってるよ。消えたことも知ってる。どうせ良くなかったから消えたんだろ?

●だいたい、ローマ字入力で全然不自由ないし、いまさらそんな変な配列を憶えたところで何になるわけ?

●うまいこと言ってどうせ金のかかる装置を売ろうとしてるんだろ?


これらの疑問、至極当然です。疑問に答える形で説明したいと思います。


●かな入力? それって今でも出来るし、親指でシフト入力って、意味わからないんですけど。

安心して下さい。親指で SHIFT キーを押すわけではありません。

ほとんどのパソコンのJISキーボードには、以下のように既にかな入力のためのかな文字が刻印されています。

しかしローマ字入力が普及した今、この刻印どおりのJISかな入力というこのかな入力を使っている人は、今では親指シフト同様少数になりました。

ローマ字入力が普及したのに対し、JISかな入力が普及しなかった理由は色々あります。私も1年くらいチャレンジしたことがあります。しかし控えめに言っても覚えにくい、そして打ちにくいキーボード配列でした。

図を見ればお分かりいただける通り、JISかな入力ではキーボードの4段 全てに渡ってかなキーが割り振られています。特に右手小指の守備範囲は15キー。はっきり言ってキーボードの配列規格としてこれでいいのだろうかという疑問ではあります。


これに対して、親指シフト入力のかな入力は、以下の図のようにシフトキーを除けば3段 で済みます。ほぼローマ字入力での指範囲と同じです。

一番下の段にある(左シフト)(右シフト)キーが親指シフトキーです。

4段分の文字を3段にした分を、この左右の親指シフトキーで補っています。

通常SHIFTキーを使う時には、まず先にSHIFTキーを小指で押し、その後別のキーを押します。

これに対し親指シフトの場合は、親指シフトキーは 同時打鍵 です。かなキーと同時に親指シフトキーを打鍵(多少の許容時間は有り)することでシフトを効かせる仕組みです。

ちょこんと同時打鍵することで素早くかなを打っていくことが出来ます。

上図の水色の範囲をご覧いただければ分かる通り、親指シフトのかな配列の範囲は狭いのです。

そのため、覚えやすく、打つのも楽 に出来ています。

キーの設定も合理的に出来ています。良く使うキーは親指シフトをしないで打つところ、それもホームポジション近くに。また濁音は、清音キーの反対側の手のシフトキーを押せば同時打鍵一打で出ます。

(「F」キーを押すと、「け」。右親指シフトキーを押しながら「F」キーを押すと「げ」。左親指シフトキーを押しながら「F」キーを押すと「ゅ」です。)


●親指シフト?知ってるよ。消えたことも知ってる。どうせ良くなかったから消えたんだろ?

親指シフトをご存じなだけに、大変手厳しい質問です。しかし手厳しいだけに逆に答え甲斐があるというものでございます。

結論から言いますと、親指シフト規格は優れたものでした。そして、まだ消えてはいません。

今現在根強い愛用者がいらっしゃることが優れているひとつの証明でもあります。

しかし親指シフト規格は 不遇 でした。JIS規格にならなかったことが大きかったと思います。

かつてはJIS規格に親指シフト配列を採用する動きがありました。しかし結局採り入れられませんでした。

JISではその代わりに「新JIS配列」という規格を独自に作りました。
この配列は親指シフトを真似たかのように3段の配列とし、親指シフトの代わりに小指のシフトキーを使うというものでした。実は私もこのキーボードを3年ほど自宅で使っていました。

JISの中で何があったのかは分かりません。しかしJISが独自の規格を作ったため、新世代の日本語キーボードの規格が並立する結果になってしまいました。

しかし「新JIS配列」はまったく普及しませんでした。結局元の木阿弥、JIS日本語キーボードは進化することなく再び「旧」JISカナが刻印されたキーボードが流通するようになってしまいました。

やがて、DOS/V パソコンの普及、Windows の普及に伴って、ローマ字入力も定着。それを学校でも教えるようになると、新たに親指シフトを習得しようという方は稀になってきてしまいました。
しかし、ユーザー数が多ければ良いというものでもございません。

私はソフトがメインの技術屋ですが、二十数年ローマ字だけの日本語入力でした。しかし50を越えて、ここ4年ほど、職場でも自宅でも親指シフト配列を使っています。

コンピュータが一人一台で使える時代になって、親指シフト配列でも業務に差し障りがなくなった、ということもありますが、最大のメリットは合理的だということです。合理的なので長時間打っていて疲れないし、思考を妨げることなく作業に没頭できます。年齢を重ねるとその良さが実感できます。ローマ字入力との比較は次の質問でお答えしています。

しょせん好みの問題と言われればそれまでです。しかし 合理性が好み である方はぜひ一度web で親指シフトの仕様をご覧になってお試しいただきたい。試すだけなら、今のPC環境で十分。しかもフリーウエアで試せます。


●だいたい、ローマ字入力で全然不自由ないし、いまさらそんな変な配列を憶えたところで何になるわけ?

なんでも、住めば都で慣れてしまえば不自由を感じないものでございます。

しかし最初にローマ字入力を使いはじめた頃のことをよく思い出していただきたいと思います。

携帯のカナ入力や、スマホのフリック入力から日本語入力をはじめた方でしたら特に。

たとえば、

地質

と打とうとする時、ローマ字では訓令式に

ti si tu

と打とうが、ヘボン式に

chi shi tsu

と打とうが自由です。

訓令式で打っている方が多いと思いますが、英語式に発音すれば「tisitu」に近い発音は「てぃすぃとぅ」です。中国式でも「てぃすとぅ」。これは気持ちが悪い

ではヘボン式ではどうか。発音は「ちしつ」に近くなりますが、「chishitsu」とキーを9打しなければなりません。親指シフトなら3打。この単語に関しては3倍のキー入力が必要になります。

ローマ字入力の違和感はこれだけではありません。

本来タイプライターは一打一文字。しかしローマ字入力は連打1文字ないし連打2文字(小さいひらがな)です。かなを一文字削除すると遡って何文字かを打ち直さねばなりません。

妙な例えかもしれませんが、道を歩いて文字を綴りたいのに、常にその上に透明のローマ字入力用のガラス板が敷き詰められている。その上でバレエダンサーのごとく細かいステップでアルファベットを踏まなければガラスの下、道の上に文字が表れてこない。
対して親指シフトをはじめとしたカナ入力であれば、まやかしのガラス板など不要です。道の上を直接どかんどかんと踏みしめ文字を書き、削り、切り貼りすることで日本語と格闘できる。妙なたとえですが、そんな感じです。

単刀直入、合理的 であるのです。

日本語のローマ字表記は今までの紆余曲折の結果、色々な方式が乱立しています。英語教育にローマ字を導入する際の混乱も懸念されているところでもあります。

●うまいこと言ってどうせ金のかかる装置を売ろうとしてるんだろ?

いいえ。いますぐ、無料で使えます。

有難いことに、リンクに紹介させていただいた通り、親指シフトのエミュレータを無料で提供している製作者さんがいらっしゃいますので、フリーウエアとして入手して試してみることが出来ます。

私も4年ほど無料の「やまぶきR」を使わせていただきました。有難うございました。

これらフリーウエアは一度起動すれば常駐して使用できますので、例えばUSBメモリに入れておいて、使用する時だけどこかのPC上で起動して使用することも出来ます(会社でもソフトの使用に制限がない場合)

また、キーボードについても、ほとんどの日本語109キーボードでしたらそのまま流用出来ます。



具体的には、「無変換」「スペース」「変換」キーのいずれかに「右シフト」「左シフト」を割り当てて使用します。上の図の例では、「スペースキー」を「左シフト」に、「変換キー」を「右シフト」に割り当てています。

これではスペースキーと変換キーが使えなくなってしまうではないかと思われるかもしれませんが、エミュレータソフト(またはコンバーター)を使用すれば、兼用が可能です。(同時打鍵と単独打鍵の違いを検知しています。)

理想的には、「B」キーの真ん中で左右が割り当てられれば(俗称「B割れ」)良いのですが、実際には少しズレていたり、かなりズレていたりしますので、親指シフト向きのキーボードというのがあるのは事実です。
(また、数は少ないながら正式の親指シフト配列を備えた専用キーボードは現在も販売されています。)

もし不明点があれば、Facebook 親指シフトフォーラムでしたら親切な方もたくさんいらっしゃいますので、質問すれば良い回答も得られるかと思います。

親指シフトを使うならOyaConv を使わなければならない、ということはありません。親指シフトを使うための選択肢はたくさんあります。

また親指シフトは終わってしまった規格ではありません。一人でも多くの方が色々な方法で親指シフト入力を試されることを望んでやみません。

親指シフト関連リンク

徐々に増やしていく予定ですが、とりあえずWikipadia の親指シフトの項と、個人的にやりとりがある方のサイトを紹介いたします。

●Wikipadia 「親指シフト」項目
  エミュレータその他リンクはこの項目にあります。

杉田伸樹さんの親指シフト関連webページ

  ・親指シフトウォッチ
  ・ぎっちょんのホームページ(画面中央「親指シフト」から)
  ・親指シフトの倉庫

●大田 徹さん(ライフラボ株式会社)の親指シフトキーボード関連webページ

  ・親指シフト表記付きUSBライトタッチキーボード



OyaConv製作 高橋 祥之

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